お正月には家族そろっておせち料理を食べるご家庭が多いと思います。
重箱の中に所狭しと敷き詰められた様々な種類のおかずは目を見張るものがあり、食べるのがもったいなく感じられるほどです。
そんなおせち料理ですが、実はきれいなだけではなく、入っているおかずには全て意味のあり、縁起のいい食べ物が揃っているということはご存知でしょうか。
今回はおせち料理に入っているおかずの種類とその意味についてお話をしたいと思います。
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おせち料理はなぜ縁起がいい?
おせち料理は『一年の健康と幸せを願って食べるもの』として知れ渡っていますが、その起源は大昔までさかのぼります。
昔の人々は無事に穀物が収穫できたことを季節ごとに感謝し、その季節の神様に供え物をする風習がありました。そのお供え物は『節供』と呼ばれ、その中に入れる料理は『節供料理』と呼ばれていました。これがおせち料理の起源です。その節供料理が時代ととも名前や意味合いも徐々に変化し、現代に伝わる一年の豊穣と幸福を祈るという意味になったわけですね。
おせち料理には縁起物がいっぱい!
一年の幸福を得られるおせち料理には様々な縁起物のおかずが詰まっています。ではそれぞれにどんな意味があるのでしょうか。
おせち料理が重箱に詰められている理由は、『たくさんの幸せが重なりますように』という阮担ぎからだそうです。そしてそれぞれの段には異なる意味が込められているため、段ごとの意味とそこに収められる料理について紹介をしたいと思います。
壱の重
一番上の段の名称です。
一番上の段にはお正月のおめでたさにふさわしいものを詰めます。
特に『数の子・田作り・黒豆』は三つ肴と呼ばれ、おせち料理には欠かせないものとされています。
数の子
子孫繁栄を祈る縁起物です。
数の子はニシンの卵なのはご存知かとは思います。そこから由来し、『ニシン(二親)』の『卵(子)』ということで子宝に恵まれる非常に縁起の良いものとして昔から使われてきました。
田作り
五穀豊穣を祈る縁起物です。
昔、田に肥料として小魚をまいていたことから由来される名前で、田を豊かにするということから豊穣を祈られて作られた食べ物です。別名のごまめも『五万米(ごまめ)』という由来からつけられたそうです。
黒豆
無病息災を祈る縁起物です。
まめとは『丈夫・健康・真面目』といった意味があり、一年間健康で過ごせますようにという祈りを込められて作られたものだそうです。
ごぼう
開運の縁起物です。
おせち料理に使われるごぼうはただのごぼうではなく、たたきごぼうと呼ばれる煮たごぼうを開いた料理が使われます。またごぼうは根を張るということから根を張って安泰な一年を過ごせるようにという願いも込められています。
紅白かまぼこ
紅はおめでたさを表し、白は神聖を表す縁起物です。
おせち料理に入っているかまぼこは紅白のものがほとんどで、形も月に似ていることから『日の出』を象徴するものとされています。
伊達巻
華やか・賑やかを司る縁起物です。
伊達巻はもともと江戸時代に長崎から伝わった食べ物で、『しゃれている(伊達)』食べ物ということで、華やかさを象徴する食べ物としておせち料理に使われるようになったそうです。
栗きんとん
金運・勝負運を祈る縁起物です。
栗は山の幸の代表でもあり、昔から縁起物として尊ばれており、またきんとんは『金団』と書くことから金運に恵まれる豊かな一年になりますようにという願いが込められているそうです。
昆布巻き
子孫繁栄・長寿を祈る縁起物です。
『喜ぶ』という言葉にかけられ、『養老昆布』ということから長寿を、『子生(こぶ)』ということから子孫繁栄を祈る縁起の良い食べ物です。
錦玉子
華やかさを司る縁起物です。
黄身と白身が金銀にたとえられ、二色も錦にという言葉にかけられる縁起のいい食べ物です。錦織のような華やかさをもってお正月を祝おうということだそうです。
弐の重
焼き物を収める段です。
海の幸を取りそろえることで、穀物だけではなく海の幸の収穫も豊かになるようにという祈りも込められているそうです。もし三段重を使うのであれば、この段に酢の物も併せて詰めましょう。
海老
長寿を祈る縁起物です。
海老はヒゲをはやし、身体を曲げた見た目をしていることから、『腰が曲がる年まで長生きしますように』という願いを込められており、昔から尊ばれているそうです。
鯛
おめでたさを表す縁起物です。
『めでたい』ということで正月だけではなく、お祝い事全般で用意されることも多いめでたさの代表のような食べ物です。
ぶり
出世を祈る縁起物です。
ぶりは成長するにつれて名前が変化することから、出世魚と呼ばれています。一年の初めにぶりを食べてその年出世ができるようにしようという願いが込められています。
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参の重
煮物を収める段です。
季節の食材を使った料理を入れ、山の幸が今年も豊かに収穫できますようにという願いが込められています。
手綱こんにゃく
自己強化を促す縁起物です。
武家時代のなごりで、こんにゃくを手綱に見立て、心身ともに引き締めて一年を乗り越えようという願いが込められています。
椎茸
健康を祈る縁起物です。
椎茸の傘を陣笠に見立てたもので、神様のお供え物として重宝されてきた縁起物です。
楯豆腐
家内安全を祈る縁起物です。
高野豆腐に焼き目を付けたもので、楯に見えるようにしたものです。家をしっかりと守れるようにという願いが込められている縁起物です。
花蓮根
子孫繁栄の縁起物です。
花蓮根は花が咲いた後に実をつけるようにという意味があることから子孫繁栄の意味が込められている。また将来の見通しができるようにという祈りも込められている。
与の重
酢の物を入れます。
日持ちする酢の物を入れ、食べきれない場合に備える意味があるそうです。
小肌栗漬
出世を祈る縁起物です。
ぶりと同様、成長とともに名前が変わる出世魚で、クチナシを使って黄色く染めた栗と和えた縁起物です。
菊花かぶ
めでたさを祝う縁起物です。
かぶは冬が旬ということで旬のものを使ってお祝いの料理にすることで、より良い年にしようという阮担ぎの気持ちが込められています。
紅白なます
平安を祈る縁起物です。
紅白の水引を表し、めでたさを祝う縁起物として古くから使われてきました。
酢蓮
将来安泰の縁起物です。
穴がたくさん開いていることから、将来の見通しができるようになるという阮担ぎからくる縁起物です。
ちょろぎ
長寿を祈る縁起物です。
ちょろぎは『長老木』『長老喜』というめでたい当て字から長寿をえられる縁起物とされています。
五の段
現代では与段重が正式とされているが、本来組重は五段重が多いため、五段重が正式なものとされる説もある。五段重を使用する際は、五の段に収めるおかずにはいくつか説があります。ひとつめは『家族の好物』を入れる説、ふたつめは新年にやってくる幸福を収めるために『何もいれない』説があります。どちらも由来のあるものなので、お好きなほうを選んでいただければ良いと思います。
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さいごに
さて今回の記事を読んでいただくと、おせち料理はただ栄養があるだけではないんだ!ということがお分かりいただけたかと思います。年始にはおせち料理を家族と食べ、一年の英気をしっかり養うようにしましょう。